この比較でわかること
- 東京など6地域・断熱等級4・14畳のリビング(エアコンは4.0kW)では、エアコンだけが年26,400円でした。 床暖房では、温水式 床暖房(ヒートポンプ熱源機)がいちばん安く年38,100円、 電気ヒーター式は年62,900円(エアコンだけの約2.4倍)です。
- 暖房代だけなら、どの地域でもエアコンが安くなりました。エアコンは外の熱をくみ上げるので、使った電気の何倍もの熱を出せます。床暖房は、熱源機の効率に加えて、床の下に逃げる熱や配管から逃げる熱があります。
- 公的な計算方法の標準(床の40%に敷設)では、床暖房だけでは暖房の負荷の73%程度しか受け持てません。 とくに暖房をつけた直後に足りなくなります。この計算では、足りない分をエアコンで補っています。
- LPガスの家では、エコジョーズの温水式が年70,700円(エアコンだけの約2.7倍)になります。
- 断熱等級6では、エアコンだけが年14,100円、電気ヒーター式が年28,100円で、金額の差は小さくなります。
地域別の暖房代(リビング14畳・断熱等級4・都市ガス)
| 地域 | エアコンだけ | 電気ヒーター式 | 温水・エコジョーズ | 温水・ヒートポンプ |
|---|---|---|---|---|
| 1地域 5.6kW | 74,800円 | 141,000円 | 101,100円 | 118,100円 |
| 2地域 5.6kW | 62,200円 | 123,700円 | 86,800円 | 93,200円 |
| 3地域 4.0kW | 48,700円 | 103,100円 | 71,500円 | 70,400円 |
| 4地域 5.6kW | 47,800円 | 98,600円 | 68,900円 | 69,700円 |
| 5地域 5.6kW | 36,600円 | 80,700円 | 56,200円 | 54,000円 |
| 6地域 4.0kW | 26,400円 | 62,900円 | 43,100円 | 38,100円 |
| 7地域 4.0kW | 14,200円 | 31,000円 | 21,400円 | 17,400円 |
床暖房は、足りない分を補うエアコンの電気代を含みます。エアコンは効率のわからない機種で、能力が足りる大きさ(地域名の下)で計算しています。8地域(沖縄県など)は計算していません。
それでも床暖房を選ぶ理由
この計算は暖房代だけの比較です。床暖房には、足もとから暖まる・風が出ない・音が静か、といった点があります。 公的な計算方法でも、床暖房は部屋の上下の温度差が小さく、体が感じる温度が高くなることを、暖房の負荷を小さくする形で見込んでいます(上の結果にふくまれています)。 快適さの違いをお金に換えることはできないので、暖房代の差を「快適さにいくら払うか」の目安として使ってください。
結果の見方
- 床暖房の分担:暖房の負荷のうち床暖房が受け持った割合です。残りを、入力したエアコンで補う計算です。
- 温水式の光熱費:熱源機のガス・灯油と、ポンプなどの電気です。ヒートポンプ熱源機は電気だけです。
- エアコンだけ:暖房代 比較シミュレーターのエアコンと同じ計算です。
よくある質問
床暖房はつけっぱなしにするものでは?
公的な計算方法では、ほかの部屋がエアコンの家の場合、リビングの床暖房は地域によらず「人がいる時間だけ」の運転で計算します(寒い地域で、ほかの部屋も温水暖房などの場合は連続運転)。エアコンも同じ時間帯で比べています。 エアコンのつけっぱなしについてはつけっぱなし vs 使う時間だけで計算できます。
ガス温水式の床暖房で、ガス会社の割引プランを使っています
割引後の単位料金を「都市ガスの単位料金」に入れてください。基本料金の違いは含みません。
入力した内容は保存されますか?
保存されません。計算はすべてお使いのブラウザの中で行います。条件はページのURLに入るので、ブックマークや共有に使えます。
床暖房の計算
- 公的な計算方法(第三章第一節)で、リビングに床暖房を置いた場合の1時間ごとの暖房負荷を求めます。床暖房では、放射による補正(敷設率に応じて負荷が小さくなる)がかかり、上下の温度差による補正はかかりません。
- 電気ヒーター式は第四章第五節で、上面の最大放熱能力(162W/m²)までの負荷を、上面放熱率で割って電気の量にします。
- 温水式は第四章第七節で、熱源機(ガス従来型・潜熱回収型、石油従来型・潜熱回収型、電気ヒートポンプ)ごとに、燃料と電気の量を求めます。効率は公的な計算方法の既定値です。
- 床暖房で暖めきれなかった負荷を、エアコンの計算(第四章第三節)で電気の量にします。
| 床暖房の条件 | 敷設率40%(公的な計算方法の既定値)、上面放熱率0.9(床の下に断熱がある場合の上限の値)、温水配管の断熱なし。床の下の断熱が弱いと、床暖房の光熱費は高くなります。 |
|---|---|
| 床面積の扱い | 公的な計算方法の標準住戸のリビングで計算した1m²あたりの値を、入力した広さに比例させています。温水式の配管の熱損失なども比例させているため、目安です。 |
| 補助のエアコン | 床暖房で足りない分を補うときも、エアコンだけのときと同じ計算方法(上下の温度差の補正なし)で計算しています。 |
| 含まないもの | 床暖房の設置費・工事費、ガス会社の床暖房向け料金プランの基本料金、給湯と兼用する熱源機での給湯の分。 |
計算方法
建築物省エネ法の住宅の評価で使われている「エネルギー消費性能の算定方法」のうち、ルームエアコンの消費電力量の計算(第四章第三節)を使っています。 建築研究所などが公開しているPython実装(pyhees)をTypeScriptに移植し、同じ入力で結果が一致することをテストで確かめています。
- 地域区分と断熱性能から、公的な計算方法の標準的な住宅(床面積120.08m²、4人世帯)の部屋ごとの暖房・冷房の負荷を1時間ごとに1年分求めます。
- その負荷を部屋の広さに合わせて比例させます(1畳=1.62m²で換算)。
- エアコンの定格能力と効率(能力÷消費電力)から、1時間ごとの外気温・湿度に応じた消費電力量を計算し、1年分を合計します。
- 消費電力量に電気料金単価を掛けて、電気代にします。
前提条件と誤差
| 使い方 | 在室時間・設定温度・運転する時間帯は、公的な計算方法の標準住戸の生活スケジュールに固定されます。自分の使い方と大きく違う場合は、金額も変わります。 |
|---|---|
| 住まい | 戸建住宅を前提としています。断熱性能は等級ごとの基準値(UA値)で計算し、日射の取り込みやすさは国の仕様基準の値を使います。 |
| 気象 | 地域区分ごとの公的な計算方法の代表的な1年分の気象データ(標準年)を使います。近年の猛暑や、熱帯夜の湿度の高さは反映されていないため、とくに冷房の電気代は実際より少なめに出ることがあります。 |
| 湿気(潜熱) | 冷房は、温度を下げる負荷(顕熱)と湿気を取る負荷(潜熱)の両方を公的な計算方法で計算します。エアコンが処理しきれない分は「処理できない負荷」として別に示し、電気代には入りません。 |
| 気密・換気 | 公的な計算方法には気密性能(C値)の入力がないため、すき間風の違いは計算に入りません。換気は公的な計算方法の標準の条件です。 |
| 部屋 | リビングは標準住戸の主たる居室、個室は子ども部屋のスケジュールを使います。 |
| 効率がわからない機種 | 公的な計算方法で効率不明の機種に使う推定式(区分(は))で計算します。省エネ性の高い機種の目安には区分(い)の推定式を使います。 |
| 電気料金 | 初期値は家電公取協の目安単価 31円/kWh(税込)(2022-07-22改定)です。検針票から求めた自分の単価に変えると、実態に近づきます。 |
| 含まないもの | 待機電力、フィルターの汚れ、機器の経年劣化、室外機の設置状況、電気料金の将来の変動。 |
出典
- 建築研究所「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」技術情報(第四章第三節 ルームエアコンディショナー)
- 建築研究所ほか「pyhees」(上記算定方法のPython実装、MITライセンス)
- 国土交通省「住宅性能表示制度 断熱等性能等級の基準」
- 国土交通省「地域区分新旧表(令和2年7月時点)」(市区町村と地域区分の対応)
- 総務省「全国地方公共団体コード」(市区町村の名称とコード)
- 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問(電力料金目安単価)」
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」
- 建築研究所 技術情報「第四章第五節 電気ヒーター床暖房」「第四章第七節 温水暖房」
- 建築研究所「床暖房使用時の上面放熱率の計算方法について」
- 東京ガス株式会社「原料費調整制度に基づく2026年11月検針分のガス料金について(東京地区等)」
- 東京ガス株式会社「よくあるご質問(都市ガスの熱量)」
- 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 石油情報センター「一般小売価格 LP(プロパン)ガス(偶数月確報)」
- 日本LPガス協会「プロパン、ブタン、LPガスの立方メートルからトンへの換算」
- 資源エネルギー庁(燃料油価格定額引下げ措置)「燃料油価格の推移(灯油 全国平均価格 2026年9月28日、石油製品価格調査)」
- 資源エネルギー庁「エネルギー源別標準発熱量・炭素排出係数(2018年度改訂)の解説」
断熱性能・負荷データの作成日:2026-09-23