この試算でわかること
- 東京都千代田区・5kW・真南・4寸勾配の場合、1年の発電量は約5,010kWhです。 4人家族・エアコンあり・エコキュートなしの家では、発電のうち家で使うのは32.9%です(国の審議会の資料にある実績から求めた値は35.2%で、近い値です)。 設置費用144.5万円(28.9万円/kW)、維持費は点検とパワコン交換を見込んだ額とすると、 設置費用を取り戻すまで20年では回収できない(20年間で約22.1万円の損)という計算になります。
- エコキュートを昼に沸かすと、家で使う割合が大きく上がります。夜だけで沸かす場合は34.1%ですが、昼に約7割沸かすと53.2%になり、 設置費用を取り戻すまで約17.6年(夜だけなら20年では回収できない)です。
- パネルを大きくするほど、家で使う割合は下がります。3kWなら46.5%、8kWなら23.0%です。 この条件で20年間の損得がいちばん良いのは3kWでした(下の表)。
- 損得は、維持費と「家で使う割合」で大きく変わります。下の表のように、同じ発電量でも条件によって「元が取れる」と「取れない」に分かれます。 売電単価(5年目から8.3円/kWh)より買う電気の単価(31円/kWh)のほうがずっと高いため、発電した電気を家で使うほど得が大きくなります。
- 発電量は、地域区分(寒さの区分)よりも「日射地域区分」で大きく変わります。真南・4寸勾配の1kWあたりの年間発電量は、A2区分の地域で862kWh〜987kWh、A5区分の地域で1,095kWh〜1,255kWhです。 同じ7地域の中でも、日射地域区分によって発電量が最大36%違います(同じ日射地域区分の中での地域区分による違いは最大19%)。
- 向きは南がいちばんですが、東・西でも南の89%以上発電します(東京都千代田区・4寸勾配)。北向きは南の78%です。
家の電気の使い方による違い
東京都千代田区・5kW・真南・4寸勾配、4人家族(断熱等級4相当)で、発電のうち家で使う割合と、設置費用を取り戻すまでの年数です。
| 家の電気 | 家で使う割合 | 回収 |
|---|---|---|
| 家電・照明・換気だけ | 24.7% | 20年超 |
| +エアコン | 32.9% | 20年超 |
| +エアコン・エコキュート(夜だけで沸かす) | 34.1% | 20年超 |
| +エアコン・エコキュート(昼に約7割沸かす) | 53.2% | 17.6年 |
パネルの容量による違い
東京都千代田区・真南・4寸勾配、4人家族・エアコンあり・エコキュートなし。設置費用は28.9万円/kW × 容量で、容量によって1kWあたりの設置費用が変わる分は含みません。
| 容量 | 家で使う割合 | 回収 | 20年間の損得 |
|---|---|---|---|
| 3kW | 46.5% | 19.3年 | +2.6万円 |
| 4kW | 38.6% | 20年超 | −8.9万円 |
| 5kW | 32.9% | 20年超 | −22.1万円 |
| 6kW | 28.8% | 20年超 | −36.3万円 |
| 8kW | 23.0% | 20年超 | −66.2万円 |
売電単価より買う電気の単価のほうが高いため、家で使えずに売る電気が増えるほど、1kWあたりの得は小さくなります。
維持費と家で使う割合による違い
家で使う割合を自分で決めた場合です。東京都千代田区・5kW・真南・4寸勾配、設置費用144.5万円、売電単価は初期値のまま、20年間で計算した、設置費用を取り戻すまでの年数です。
| 維持費 \ 家で使う割合 | 20% | 35.2% | 50% | 70% |
|---|---|---|---|---|
| 点検・パワコン交換込み 5,740円/kW・年 | 20年超 | 20年超 | 18.4年 | 14.6年 |
| 国の買取価格の前提 3,000円/kW・年 | 20年超 | 18.5年 | 15.4年 | 12.7年 |
| 報告された平均 1,045円/kW・年 | 20年超 | 16.2年 | 13.8年 | 11.6年 |
「20年超」は、20年間では取り戻せないことを表します。維持費は上から、定期点検とパワコン交換を見込む(業界の聞き取り)、国の買取価格の前提、実際に報告された平均です。 「家で使う 35.2%」は、国の審議会の資料にある実際の売電の割合(平均64.8%)の残りです。維持費の3つの値も同じ資料の数字です。
日射地域区分ごとの発電量
日射地域区分は、国の住宅省エネ基準で、年間の日射量の多さによって全国を5つ(A1〜A5)に分けたものです。数字が大きいほど日射量が多い地域です。 市区町村ごとの区分は建築研究所の区分表で決まっていて、今の区分表ではA1区分は使われていません。
| 区分 | 1kWあたり(年) | 5kWの場合(年) |
|---|---|---|
| A2区分 | 862〜987kWh | 4,310〜4,930kWh |
| A3区分 | 950〜1,126kWh | 4,750〜5,630kWh |
| A4区分 | 1,009〜1,165kWh | 5,050〜5,820kWh |
| A5区分 | 1,095〜1,255kWh | 5,480〜6,280kWh |
真南・4寸勾配・屋根置き形、パワコンの効率は公的な計算方法の既定値(92.7%)。公的な計算方法では地域区分と日射地域区分の組み合わせごとに日射量と気温のデータがあるため、同じ日射地域区分でも地域区分によって発電量が変わります。
パネルの向きと傾きによる違い
東京都千代田区(6地域・A3区分)で、真南・4寸勾配の発電量を100%としたときの割合です。
| 向き(4寸勾配) | 発電量 |
|---|---|
| 南 | 100% |
| 南東 | 97% |
| 南西 | 97% |
| 東 | 90% |
| 西 | 89% |
| 北東 | 82% |
| 北西 | 81% |
| 北 | 78% |
| 傾き(真南) | 発電量 |
|---|---|
| 水平(0°) | 94% |
| 2寸勾配(約11°) | 98% |
| 4寸勾配(約22°) | 100% |
| 6寸勾配(約31°) | 100% |
結果の見方
- 電気代の節約:発電した電気を家で使うと、その分の電気を買わずに済みます。「家で使う電気 × 買う電気の単価」で計算します。
- 売電収入:家で使わなかった電気は売ります。1〜4年目・5〜10年目は国の買取価格(FIT)、11年目からは買取期間が終わった後の単価で計算します。
- かかったお金:設置費用(補助金を引いた額)に、毎年の維持費を足した累計です。
- 元が取れる年:「得したお金」の累計が「かかったお金」の累計に追いつく年です。年の途中は前後の年の間で直線で補っています。
よくある質問
見積書の発電量と違うのはなぜですか?
このツールは、住宅省エネ基準の公的な計算方法と、その地域の標準的な1年の日射量で発電量を求めています。見積書の計算とは、日射量のデータや補正の方法が違うことがあります。 見積書の「年間予想発電量」で損得を見たい場合は、「見積書の年間予想発電量を使う」にチェックして、その値を入れてください。
実際の設備と比べて、発電量は多めですか、少なめですか?
初期条件(東京都千代田区・真南・4寸勾配)の設備利用率(1年の発電量 ÷ 容量 × 8760時間)は11.4%です。 国の審議会の資料では、実際の住宅用太陽光の設備利用率の平均は14.1%とされています(全国の設置場所・向きの平均で、容量の数え方などの条件はこのツールと同じとは限りません)。このツールの発電量は、実際の設備の平均より少なめに出ている可能性があります。
パネルの劣化は入っていますか?
公的な計算方法には、パネルの出力が時間とともに変わる分の補正(結晶シリコン系で0.96)が入っています。年ごとに少しずつ下がっていく分は、根拠となる公的な資料が確認できていないため、計算に入れていません。
蓄電池やエコキュートと組み合わせると?
エコキュートは「お湯」の選び方で、夜だけで沸かす場合と昼に約7割沸かす場合を計算できます。エコキュートの電気代そのものの比較は、エコキュート 昼と夜、どっちで沸かすと安い?シミュレーターで試算できます。 蓄電池は、充電・放電の前提を公的な資料で確認できていないため、まだ計算していません。
家で使う割合は、どう計算していますか?
1年8760時間のそれぞれで、太陽光の発電量と家の電気の量を比べ、小さいほうを「家で使う電気」として足し合わせています。 家の電気は、公的な計算方法の標準的な家(床面積約120m²)の家電・照明・換気に、選んだ場合はエアコン(リビングと個室に1台ずつ)とエコキュートを加えたものです。 実際の家では、在宅の時間帯や家電の使い方で変わります。家で使う割合がわかっている場合は「自分で入れる」を選んでください。
買う電気の単価がわかりません
検針票の請求額と使用量から、電気代の単価 計算ツールで計算できます。
入力した内容は保存されますか?
保存されません。計算はすべてお使いのブラウザの中で行います。条件はページのURLに入るので、ブックマークや共有に使えます。
計算方法
- 市区町村から、建築研究所の区分表で省エネ基準の地域区分と年間の日射地域区分を決めます。
- 公的な計算方法(第十一章第二節)の、地域区分と日射地域区分ごとの1年分・1時間ごとの日射量と気温を使い、パネルの向き・傾きに当たる日射量を求めます。
- 公的な計算方法(第九章第一節 太陽光発電設備)で、パネルの温度による出力の低下、配線やパワコンの損失などの補正をして、1時間ごとの発電量を求め、月ごとに合計します。
- 家の電気を1時間ごとに求めます。家電・照明・換気は公的な計算方法(第十章・第六章・第五章)の標準的な家、エアコンは第四章第三節、エコキュートは第七章第四節です。
- 1時間ごとに発電量と家の電気の量の小さいほうを足して「家で使う電気」とし、残りを売電とします。買う電気の単価と売電単価を掛けて、年ごとの得を求めます。
- 設置費用(補助金を引いた額)と毎年の維持費の累計と、得の累計を比べて、元が取れる年を求めます。
前提条件と誤差
| パネル | 結晶シリコン系、屋根と平行に載せる屋根置き形。影がかからない前提です。 |
|---|---|
| 日射量 | 公的な計算方法の、その地域の標準的な1年分のデータです。年ごとの天候の違いは含みません。 |
| 設置費用 | 初期値は2025年に設置された新築住宅の平均(28.9万円/kW)です。既築の住宅に後から付ける場合の金額は資料にないため、見積もりの総額を入れてください。資料には税込・税抜の明記がありません。 |
| 家で使う割合 | 1時間ごとの発電量と家の電気の量の小さいほうを足しています。1時間の中での細かな変動(雲や家電のオン・オフ)は含まないため、実際より少し高めに出ることがあります。調理はガス(公的な計算方法の前提)です。エアコンの能力は部屋の広さから公的な計算方法の決め方で決め、効率は公的な計算方法の既定値です。 |
| 電気代 | 買う電気の単価は1年を通して一定です。基本料金や、電気代の値上がり・値下がりは含みません。 |
| 含まないもの | 年ごとの出力の低下、蓄電池、屋根の工事や撤去の費用、固定資産税、お金の時間的な価値(割引)。 |
出典
- 建築研究所ほか「pyhees」(算定方法のPython実装、MITライセンス)
- 国立研究開発法人 建築研究所「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラムの算定方法 第九章第一節 太陽光発電設備(pyhees section9_1)」
- 国立研究開発法人 建築研究所「地域の区分(年間の日射地域区分・暖房期の日射地域区分)」
- 経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見(2026年2月5日)」
- 経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見(住宅用太陽光 10kW未満)」
- 東京電力エナジーパートナー株式会社「再エネ買取標準プラン(卒FIT)」
- 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A(新電力料金目安単価)」